soan hair 西条 ばらばらの木々が手をつなぎ合って一つの森となるように、分節しながらも 一つの空間として成り立つような空間の”間仕切り方”について思考しました。 小さな空間を設計する際には、その壁厚さえも空間の感じ方を左右する 大切な要素となるため、この46.0㎡の小さなヘアサロンにおいて、カット、 シャンプー、ウエーティングスペースという三つの場所を間仕切る 壁の厚みについてデリケートに捉え、検討した結果、有効な店舗面積と 動線が確保でき、空間のつながりを妨げず、自立が可能な材料として、 24㎜の薄いシナ合板を採用することにしました。 規格サイズ(1200mm x 2400mm)の1枚の合板からレーザーカットにより 幹の中心から隣の幹の中心までを切り出してパネル化し、XY方向に連続させる 工法により、施工が容易で強度のあるパーティションになっています。 間仕切り壁を平行方向に重ねて配置することでレイヤー効果を持たせ、 その交差部では面で切り出された木のモチーフが立体的に浮かび上がる この間仕切りは、単純なルールでありながらも、空間に複雑さをもたらします。 また、枝が重なり合ってできるすき間のような透過性を持つため、 三つの場所を緩やかに分けながらもつながり合い、どの場所にいても木立の中に いるような心地良さを感じる空間となっています。ここでは、間仕切りという 本来機能的に必要な建築的要素が、居心地の良さを提供したいというお店の アイデンティティー(思想や個性)を分かりやすく表現する看板のような役割も 同時に担うことができたのではないかと考えています。 お店のアイコンともなる木立のモチーフをファサードにも繋げてゆくことで、 郊外の路面店であるこのお店が、街角に突然現れるポケットパークのような印象で 街ゆく人の目を楽しませる風景の一部となればと期待しています。
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